出だしからさっそくつまずいた小学校生活だったが、その後、席が近い子や通学路が一緒の子とそれなりに親しくなるも、やはりすぐにいじめられるようになってしまった。
掃除当番を忘れて帰ろうとしたり、「これ内緒ね」ということをすぐ言っちゃったり、人の気を引こうとしてわざとらしい行動に出る、一緒に遊んでいても自分の鈍くささから何かと人に迷惑をかけるなど、いじめられる要素は満載だったけど。。
人と接する時の「自分」の出し方、さじ加減?のようなものが分からなかった。
幼稚園の時はまだ、変な計算も自意識もなく人にぶつかっていったけど、それで人に拒絶されまくって、変に考えすぎるようになってしまったのか。
人と接する時に皆が当たり前に持っていそうな感覚、センス、ノリ、そういうものを自分だけ持てていないような、そんな心許なさや疎外感を感じながら、賑やかそうな輪を見つめていた。
手探りで、こうしたらいいかな、こうしてみようかなどと考えるのだが、そのすべてが的外れというか、根本的な思い違いになっていた。
大人しい、弱そうに見られるからナメられていじめられるのかと思い、初対面の人の前では無理して明るく、うるさいくらいにはしゃぎ、気が強いように見せたり。周りの人気者っぽい子の表面的な特徴、雰囲気だけを安易に真似ようとしたりもした。
今でいう「ウザい」「キモい」というようなこともよく言われた(「キモい」という言い方は当時からあったかな?もうちょっと違う表現だったかもしれない)。
「この子と仲良くなりたい」と思って近づいても、押し売りのような、わざとらしいしゃべり方になってしまう。
相手の反応がイマイチだと(大抵は引いてしまう)、もの欲しげな目でじっと見つめてしまう。
自分なりに、どういうのが人に好感持ってもらえるのかなと考えるのだが、考えるほど空回りして、不自然になってしまった。
私はとにかく目立ちたがり、注目を浴びたがりだった。
人の気を引くような「キモい」行動をよくしたと思う。
不思議ちゃんのようなキャラを演じてみたり、とにかく「面白い人」と思われたかったのか、ガラでもないひょうきんな態度を取ったり。
個性的で目立つ子、どこかちょっと人と違った感じの子に憧れた。自分にないものへの憧れだろうか(悪い意味で十分目立ってはいたかもしれない)。
私自身は、特に面白くもなく地味で、性格に人を惹きつけるような魅力的なポイントは何もない。自分が特に何もしないままでは、誰にも相手にされない、誰の気にも留められない、そんな思いがあったと思う。それが嫌だった。
私には昔から、「普通」をつまらない、と感じる心理があった。
目立ちたい。人にチヤホヤされたい。相手の強い興味、関心を引きたい。
相手に「普通」だと思われては嫌。「特に印象に残らない」のが嫌。
相手に「なんだ…つまんない」と思われてしまうこと、がっかりされることが一番怖い、という思いがあった。
ここで言うところの「普通」の説明は難しいが、要は余計なことをしないで、その場にふさわしい態度でいること、かな?
「普通」で特に印象もなく終わるくらいなら、むしろ「変な人」に見られたいくらいだった。
変わってるって思われた方がマシ、くらいに思っていたと思う。
いつも「一風変わった人」を演じようとしていた。
おちゃらけたり、道化のように振る舞ったり。
自分で「浮いてる」「しまった・・・」と思っても、目立つことしたい衝動を止められなかった。
目立ちたがりというか、自分のことしか考えていなかったのだと思う。
私にとって「他人」とは、自分のそういう欲求を満たす道具…という認識だったのかもしれない。
相手の「気になる人」になりたい。私を見て、私を気にかけて、自分に優しくして、私に構って、チヤホヤして。。と。
そこが私の幼さのゆえんだったと思う。
そんな私に対する周りの態度は、まったく相手にしないか、目を合わせるのも嫌というくらい毛嫌いするか、からかって楽しむ対象にするかのどれかだった。
6年間総じて、クラスメイトだけではなく、教師から見ても「問題児」だったと思うが、特に小学2年の時の担任に、私は露骨に嫌われていた。
大人もイライラさせる子供だったのだと思う。
漢字の書き取りか何かの提出物があった時のことだった。
提出した際、「自分は頑張った」と思った人は先生のところに行き、先生にもそれを信用してもらえれば、シールがもらえる、というやり取りがあった。
ほぼ全員が並びに行き、そしてシールをもらっていた。私も並びに行った。
先生が生徒一人一人に対し、「自分は頑張ったと思うか?」と聞いて、生徒はそれに対し「はい」と答える。そして先生がその子を信用するとシールが与えられる。
私も流れ作業のようなそれに乗り、「はい」と答えてみせた。でもシールはもらえなかった。
シールをもらえなかったのは、私一人だけか、あるいは数えるほどだったと思う。
それまでの流れでは「よほど」じゃない限りシールはもらえるという雰囲気だったのだ。
自分がその「よほど」に入ってしまったことがショックだった。
大してショックじゃないフリをして、「ガクーッ」などと自分で言って肩を落とすパフォーマンスを見せて背中を向けると、後ろからボソッと、「俺にも好き嫌いがあるからな」と言う先生の声が聞こえてきた。
この教師はよくこうやって、自分自身や他のクラスメイト同士を評価させるということをやった。
「このクラスで一番嫌われていると思う子」や「忘れ物が多いと思う子」など神経を疑うような多数決をやったり、クラス替えの結果を事前に教えるとか言って、嘘っぱちのクラス替え結果を黒板に公表して生徒に信じさせたりと、子供をもてあそぶようなことをよくやっていた。