小学校に入学するも、なんと小学校生活第一日目の入学式から、さっそくいじめられるハメになってしまった(笑)。
理由は、”ランドセルの色”が他の子と違ったから。
私は「ピンクのランドセル」を背負って学校に行ったのだ。
今はいろんな色の子を見かけるけど、私の時代(1980年代半ば)は、男の子は黒、女の子は赤と大体決まっていて、他の色はほぼゼロと言っていいほど見かけなかった。
6年間のうちに一人か二人くらい黄色の子を見たような気もするけど、少なくともピンクのような趣味の強い色は自分だけだった。
淡いパステル調のピンクがとても可愛いらしく、私はウキウキしながらそれを背負って入学式に向かった。
ところが学校の門近くに差し掛かると、なんだか周りの子達がジロジロ見てくる気配を感じた。
自分のランドセルの色を噂していると思わしきヒソヒソ話が聞こえてきたが、気にしないようにして歩いていたら、スクールバスを降りた集団に出くわした。
その中の一人、まったく知らない上級生らしき子にいきなりつめ寄られ、「ぶりっ子!」「ピンクなんて変なの」「ピンクの子はこっちを通んないで!」とか言われ、通りをふさがれた。
気がついたら集団に取り囲まれていて、みんな苦笑いしながら私を見ていた。私は逃げるようにしてその場を後にした。
その後もずっと、ランドセルの色をからかわれたり、珍しがられたりと、私は「ピンクのランドセルの子」としてすっかり浮いた存在になってしまった。
買ってもらった時は嬉しくて仕方なくて、毎日箱から出して眺めていたランドセルが、すっかり忌々しい存在に変わってしまった。
ランドセルを見るたびに、胸がチクっとするのと、以前のウキウキ感が交差して、何とも言えない気持ちになった。
どうも私は、昔から「空気がよめない」というのか、人と違ったことをしてしまうのだ。
ランドセルの購入先のカタログには、ピンク以外にも、紺や黄色、青など、もう何種類かの色が載っていた。
通常ランドセルは黒か赤しかないもので、それを特注でピンクのランドセルを作ってもらったとかならまだしも、普通に店で売られていたものを買って持っていくことがどうしてこんなに人の怒りを買うものなのか、私は釈然としなかった。
選択肢がたくさんあっても、みんな示し合わせたように同じものを選ぶ、私はどうもそういうことから外れてしまうことが多かった。
人と違っていることは、いじめの原因になる、人と違っているというだけで、周りの人間にこれだけ攻撃される、そのことは、私にとって強烈な体験となった。
私はそれ以降、特に「身に付ける物」に関して、人と違うこと、周りから浮くことを、ものすごく怖れた。
そんな苦い体験をくぐりぬけた(?)ランドセルだったが、なぜか私の通った小学校では、2年生になるとランドセルは持たなくなり、皆、布製のリュックサックを使い出すという変な慣習があった。
立派な革製で、6年間使い続けられるよう丈夫に設計されているだろう高価なランドセルも、たった1年でお役御免なのだ(しかも私のは特殊な色ということで、普通の赤や黒より割高だったはず)。
なぜそういうことになってるのか、理由を大人(先生や友達のお母さんなど)に聞いても、ランドセルは子供の体に負担だからじゃない?…とか何とか、「たぶんそうじゃない?」レベルの話で濁され、はっきりした答えは聞けずじまいだった。
でも正直、それを知ったときは大きくホッとした。
この先6年間もこのランドセルと付き合うのかと思うと憂鬱だったし、卒業生か誰か赤のランドセルをゆずってくれないかな…と真剣に考えたくらいだったからだ。
これでやっと、私も周りの風景に溶け込める、人と同じになれる。。そう思うと心底ホッとした。ピンクってだけでものすごく奇異の目で見られたのだから…。
このリュックサックもまた流行など色々あって、皆大体似たようなデザインのものを持ってきていた。
今度は私も必死に皆に合わせて(事前にリサーチしまくって)、そこそこ周りと大きく違わないものを選んだのだった。