何だかよく分からないけど、毎日がすごく辛かった。
別にいじめられたりしたわけじゃなく、周りは皆優しかったのに(むしろ中学までと比べると格段にいい環境になった。皆とても大人だった)。
カラオケボックスにライブハウス、ファストフード店、居酒屋(観に行ったライブの打ち上げとかで1回だけ…)、暇を持て余し、そういう居場所でたむろする、目的もなく繁華街やファッションビルをぶらつく…そういうことに、強いむなしさや憂鬱感をおぼえた。
薄暗い空間、大音響の音楽、怖そうな人達が闊歩する、浮薄で、享楽的な雰囲気。。
私には合わない。。
ちょっと前まで地方の田舎街で学校と家と塾を往復するだけだった中学生が、いきなりそんな世界に紛れ込んでしまったからか。
もともと保守的というか、変化というものに弱く、新しいことを取り入れるのが苦手な性格というのもあるけど、ガラリと変わった世界、環境に、まったく馴染めなかった。
周りの子がしたがること、楽しんでいることに自分はまったく興味を持てず、何が楽しいのかわからなかった。
全部、自分の心の問題だということは分かっていた。
私と同じように田舎の中学から都会の高校へ行く人もたくさんいたけど、皆、難なく新しい環境に馴染んでいるようだった。
高校生になったら中学よりぐっと行動範囲、世界が広がる。そういった環境の変化に適応していくことも思春期の成長の一端なのだと思う。
ただ、カラオケボックスもライブハウスも居酒屋も全部、受験に失敗してこの高校に来ることさえなければ、いるはずがなかった場所に思えたのだ。
自分は何をやっているのだろうと…。
高校に落ちたこと、底辺私立高校に通っている惨めさを、一番強く感じる瞬間でもあったのだ。
無理をしてガラに合わないことをする毎日に、身を切るようなしんどさを感じるようになっていた。
でも当時はそんな自分の心境をうまくつかみ取ることもできず、この程度の環境の変化でしんどい思いをする自分の心の弱さもまたストレスとなった。
カッコ悪いことをいっぱいした。
地味でダサい自分が一生懸命派手系の人のようになろうと、やたらテンション高くサバサバしたり、悪ぶってみたり。
心の中の迷走っぷりが「キモい態度」になった。イタい態度っていうのかな。
私は「カースト上位者」というのを、キツくて、意地悪で、自分勝手な人間だという目で見ていた。
優しいとナメられる、派手系グループに入るには気が強くて自分勝手なくらいじゃないとダメなんだと思い込み、無理をして気が強いふりをしたり、悪ぶったりした。
私は無理をしなくても全然優しくない人間だし、十分自分勝手な人間だったけど(気は弱いから、強い人ぶるのは大変だった)、でも自分では自分のことを、大人しくて優しい、無害な人間だと思っていたのだ。
自分はいい人、優しすぎるくらいで、相手をひどい人間扱いして、それなのに、何だか自分の立場が悪くなるようなことが続く。
そりゃそうだ。幼くて、空気よめなくて、卑怯で、自分のことしか考えてなくて、いい加減で鈍くさくて人に迷惑ばっかりかけてしまうのだから。
でもムッとなる。なにせ自分は優しい、相手が性格悪い、と思っているから、「自分が悪い」となることは、相当心外でショックなのだ。
もともと、精神的に幼くて、自分勝手で、卑怯で、卑屈で、人に対する甘え、依存心、他罰感情が強く、それが人をイラッとさせたと思う。
その一方で、嫌われることが怖くて、自分より強そうな人を前にすると精神的に相手の奴隷のようになる。(それを自分では「心が優しい」と勘違いしていた)
「こんな高校」と周りを見下し、適当な付き合いで済ませようとし、誰にでもいい顔したくて、好かれたくて、あっちにいい顔、こっちにいい顔と、サイテーなこともした。
よくいじめられなかったなと思う。
周りからすれば相当面倒な人間だったと思うけど、
周囲に人をいじめて楽しむような人はいなかった。
こんな自分にも、みんな優しかった。
むしろあそこでは自分が一番問題児だったんじゃないかと思う。