私には、子供の頃、同じ市内に住む同い年のいとこがいた。
母親同士が仲の良い姉妹、同じ市内に住んでいる(学区は違ったけど子供でも家から歩いて行ける距離)、女の子同士、年も同じということで、子供の頃はよく一緒に遊んだ。
一番古い記憶は3歳頃だったと思う。私の方は、幼稚園に上がったか上がっていないかくらいの頃だった(私は3年保育だったため、いとこより1年早く幼稚園に通い始めていた)。
私は母親と一緒にいとこの家に遊びに行った。
赤ちゃんの頃から顔を合わせてはいたらしいけど、お互いにとってその時がちゃんと相手を認識した「はじめまして」の状態だったと思う。
その日、私はいとこに、彼女が大事そうに抱えていた人形を「貸して」と迫った。
自分も人形を持っているのに、人の持っているものが気になった。
いとこは「いや!」と拒否した。
私は引き下がることができず、「なんで、貸して、貸して」としつこく追い回してしまった。
私があまりにしつこかったからか、いとこは最後には泣き出してしまい、彼女の母親(私にとっては叔母)のところへ助けを求めに行った。
そのいとこに対し母親(私にとっては叔母)は、「貸してあげなさい」と諭した。
するといとこは泣きながらも、「貸してあげる。ごめんね」と言い、私に人形を差し出したのだ。
その姿に私は急に申し訳ない気持ちになるとともに、いとこに対し「なんて偉いんだろう・・・」と感じた。
いとこは被害者なのに、たしなめられた。
立場が逆だったら、私は怒りと納得のいかなさで心がはち切れそうになっていただろう。
それを3歳の小さな心で色々なことを察して我慢して「いいよ」と言う、その姿に私は衝撃を受けた。
私は人見知りというのがあまりなく、初対面でもグイグイいってしまうタイプだった。いとこに対してもそんな風だったと思う。今思えば幼稚園のクラスメイトと同じように、いとこの私への第一印象はかなりよくないものだったと思う(私から逃げ回るいとこの記憶がおぼろげにあるのだ・・・)。
たぶん向こうは私のことは、”いとこ”でなければ絶対に近づかなかったタイプだと思う。
いとこは幼いながらに「空気を読む」人だった。
この子(私)はいとこだから、仲のいい関係でなくちゃいけない、お母さんは、私がこの子と仲良くしなきゃ困ってしまうだろうなと。
あの年齢ですでに周りの状況を察していた気がする。
私の方も、何となく「この子は(幼稚園の友達とは違う)ちょっと特別な親しい存在なんだろうな」という認識はあった。
でも私はそこに甘えてつけ込んだ。
学校でいじめられてばかりだった私にとって、いとこと遊べる時間だけは本当に楽しかった。会える日は何日も前からワクワクしていた。
この人は、絶対に自分をいじめたりしない、嫌わない、という安心感があった。
そこにどっぷり甘えすぎたと思う。わがままもたくさん出た。
私はわがままで甘えっ子だった。自分がその場で一番チヤホヤされていないと面白くないところがあったし、「自分よりも周りのことを考える」なんて、あの頃の私にはとうてい無理だった。いつもお姫様気分でボーッとしていた。
母方の親戚の中でいとこと私は一番年下だったので(しかも他のいとこ達は皆5~7歳くらい年上)、私は親戚の集まりではいつも可愛がられポジションを陣取り甘えたい放題していた。
でもいとこは、あまり甘えたりチヤホヤしてもらうよりは、周りのことを考えて自らすすんであれこれやるタイプだった。
そんな二人が一緒にいると、自然と役割、ペースは固定してしまい、精神的に大人な方に一方的に負担がかかってしまう。
いとこと遊ぶのは本当に楽しくて、いつも何かしら刺激され影響を受けて帰ってきた。
楽しいこと、面白いこと、いろんな知恵を仕入れて帰ってこれた。
いとこは常に私より何でも知ってて、何でも出来たのだ。1歩どころか3歩も4歩も先を行かれている気がした。
そんないとこと一緒にいると劣等感を感じることも多かったけど、いとこは表立って私をバカにしたり傷つけるようなことは絶対にしなかったので、悪しき感情が芽生えることもなく、ただただ素直に尊敬できた。
そんなわけで私の方は勝手に楽しい思い出ばかりだったけど、一方でいとこの方は、私の”お守り”が大変なことも多かっただろうな・・・と思う。
何より精神レベルが合わない相手とは一緒にいてもつまらなかっただろう。
中学、高校と、成長するにつれ、だんだんと疎遠になっていった。
というか私が高校以降、盆や正月などの親戚の集まりにまったく顔を出さなくなったのだ。
母親との関係が悪化し、母は親戚の集まりになると私の悪口を言いまくるようになったからだ。
反論したかったけど、この頃は自分が母親に抱く感情を上手く言葉にできず、特に人前だと何も言えなくなってしまうのだった。
母親は自分のいいようにしか言わないので、一方的に私だけがどうしようもない極悪娘になっていった。
とは言え、高校時代は私も荒れに荒れまくっていた。
暴力や破壊行為こそなかったものの、月の半分くらいは壮絶な口喧嘩、という毎日だったのだ。
冷静に反論も理論武装もできなかったので、イライラは全部暴言となって出た。
ストレスから奇行っぽいこともしていた(母親が嫌がることをする。家を汚す、例えば洗面所の鏡に鼻○つけたりとか・・・)。