幼少期

公務員の父、専業主婦の母という両親のもと、某地方の街に生まれた。
両親にとっては年が行ってからできた子であり、当時としては結構な高齢出産だったらしい。一人っ子。

幼心ですでに、自分はこの人達に相当愛されているんだなという自覚はあった。
両親の私に向ける眼差しは常に愛情あふれるものだった。
自分で「甘やかされている」という自覚もあった。

欲しがれば大抵のものは買ってもらえたし、服やおもちゃなど身の回りのものは人よりいいものをと、出せる範囲でできるだけ高額なものが与えられた。
特別お金持ちな家というわけではなかったけど、「一人しかいないんだから」と言って、私にかけるお金は惜しまれなかった。

母は自分がやったことによって私が喜ぶのが、何より嬉しそうだった。
私が外で嫌な思い、寂しい思い、痛い思いをしないかが常に気がかりのようだった。
幼稚園~小学校低学年くらいまではそういうのは単純に嬉しかったし、自分は恵まれているのだと感じていた。

友達の家に遊びに行くなど、たまによその家庭を垣間見ると、自分の家との違いを強く感じた。
幼い私には、よそのお母さんの自分の子に対する態度には「冷たい」と感じられるものが多く、軽いショックを受けたりした。
よそのお母さんは、いちいち子供の機嫌を伺わない。甘くベタベタな接し方もしない。下の子の世話で忙しいなどであまり構わない。叱るべき時には厳しく叱る。家の手伝いをさせる。
そういう光景が私の目には、「よそのお母さんは怖い、冷たい、厳しい」という風に映った。