仕事場にカミングアウトする

発達障害と診断されてから、
仕事で辛かったり自分の無能っぷりに泣きそうになるたび密かに、「いざとなれば障害者雇用という道がある」と思って生きてきた。一種の拠りどころみたいになってた。

障害者雇用に夢見すぎかもしれない(たぶん障害者雇用もそんなパラダイスではない)。
長期引きこもりで、40歳で、ベッドメイク以外の労働歴無しで、たとえ障害者雇用でも働き口があるかは分からない。
ただとにかく障害をオープンにしたかった。
「隠すこと」「普通の人の素振りを見せること」が辛くなってきた。

頃合いを見て医師に、「いずれ障害者雇用で働くことも視野に入れたいので、障害者手帳を取得したい」と申し出た。

すると、「まずは今の職場に障害のことを話してみて」と言われた。
障害のことを話して、理解と配慮を求めてみてと。

私が「配慮とは具体的にどうしてもらうことなんですか?」と聞くと、

医者は、
「それはあなたが考えることではなく仕事場の上司が考えること」
「真剣にあなたのことを考えてくれる職場なら、上司が病院まであなたの障害がどんなものかなどを聞き取りに来てくれる」と言う。

「職場」と言っても、時給825円で働くたかが一パートの私のために、上の人がそこまでしてくれるとは考えにくい。
それにリーダーIさんをはじめ、”あの人達”にそれを話すなんて、考えたこともなかった。
公にして噂の種にされたり、「はったつしょうがい?エーディーエイチディー?なにそれ~」って奇異な目で見られるのが怖かった(なにせパート社会で生き抜く人たちは定型中の定型!って感じの人が多いので…)。

だから話すなんて絶対無理と思ったけど、だんだんそれも一つの手かと思い始めた。でも話す時は辞める時だと思っていた。

色々あって、自分の中でプツッと切れてしまう出来事があり、
その日に「今日言ってしまおう」と決めた。

仕事が終わったあと切り出した。
本当に突然言おうと思い立ったから何の準備もしていなかった。

道化師
「お話があります」
「えっと、私、仕事出来なくて、迷惑かけまくってますよね」
Iさん
「・・・・・」
道化師
「実は私いま、病院に通ってまして」
「ある障害があって・・・」

「ADHD」と言っても分かりにくいかと思い、
「注意欠陥多動症」と言おうとした時、
思わず泣き出してしまった。

道化師
「ずっと、苦しくて・・・」

嗚咽が止まらず、まともにしゃべれない。

道化師
「注意欠陥多動症と、あとアスペルガーっていうのもあるらしく・・・」
「”アスペルガー”って聞いたことありますか?」

Iさんは、「うーん。。聞いたことないー・・・・」と首をひねっていたが、もう一人(副リーダーっぽい人)が「聞いたことある」と言った。

嗚咽でまともに言葉を発せない私に対しIさんは、
「話してくれてありがとう」と言ってくれた。
「もっと早く話してくれても良かったのに」とも。

他にも「いつから病院に通ってるの?」など詳しく聞いてくれた。
診察までのいきさつ、心理テストを受けたこと、母親同伴で病院に行ったことなどすべて話した。

2人とも優しく聞いてくれた。
Iさん一人の時にいきなり告白するより、副リーダーもいる時に話した方が(Iさんの)負担が減っていいかと思ったが、やはりそうして良かった。

ただ肝心の「理解と配慮をして欲しい」が、言えなかった。
私自身、「理解と配慮」とは具体的にどうしてもらうことなのか、Iさんたちに何を求めるのか、はっきり分かっていなかったし。私がそれを分からなければ、Iさんはもっと分からない。
でも、曖昧な指示に混乱することがあるので、指示はできるだけ具体的にハッキリ言って欲しいということは伝えられた。

私が「今後、障害者雇用で働きたいと思っている」と言うと、
副リーダーが、「でもここで働きたいんでしょ?ならここの障害者雇用で働けばいいじゃん」と言ってくれた。

この時まだ障害者手帳も取得していなかったので正式な障害者ではなかったし、そもそもベッドメイクに障害者雇用なんてない・・・と思ったけど、でもその言葉は嬉しかった。

しかし私はカミングアウトした時点で、気持ちは「辞める」ことに傾いていた。
ここで配慮をしてもらいながらというのは、とても居づらい・・・。

翌日Iさんに、やはり近いうちに辞めたいと申し出た。3ヶ月後と。
超人手不足なので、私の代わりの人が入ってくれて、その人が一人前になって定着してくれら辞めようと思った。
上の人にも伝えたが、特に慰留はされなかった。

・・・と、これが昨年9月(2018年)の話なのだけど、未だ辞めてません(笑)。
私も勢いで「辞めたい!」と伝えたけど、仕事がなくなっては困るし・・・。
医師がなぜか手帳の申請を渋り、なかなか診断書を書いてくれなかったというのもある(初診から1年通ってようやく作成してくれた)。

Iさんたちは、良くも悪くも、変わらず接してくれる。
障害者雇用ではなく同じ時給で働いているという理由からか、特に配慮もない。
仕事の指示の仕方も特に変わらず(言葉を省く。言わないでも分かってねが多すぎる)。
私への嫌悪感を遠慮なく出す冷たい態度もこれまで通り。

それでも、
ADHDの薬のおかげなのか、さすがに仕事始めて4年もすれば私でも周りに追いつけるものなのか、徐々に「どうしようもなく仕事できない人」からは脱しつつある。
まだまだ落ち込むこともしょっちゅうで、私より後に入った人にフォローしてもらうことも多いけど・・・。

今の仕事は、給料は少ないけど(時期によって変動するけど月平均手取り10万)実家暮らしなのでやっていける金額だし、社保にも入れてる(雀の涙だけど将来厚生年金が出る)。
お金と安定を考えたら私にはここを続ける選択肢しかないけど(ベッドメイクの需要は当分なくならないと思う)、体と心の健康どちらが大切かと考えると、揺れている。いずれは障害者雇用、その先に在宅ワークも考えている。
今後については、障害者手帳を取得したら(ただいま申請中)、次に向けて少しずつ準備を始めるつもり。
それまで、もう少しここで頑張ろうと思っている。